相続税の税務調査と税理士に任せるメリット

相続税は他の税目と比べ、税務署からの税務調査が入りやすいと言われています。

そのため、適正な相続税申告書を税務署に提出していても税務調査が行われる可能性があります。何も後ろめたいことがなくても、税務調査と聞くと誰でも不安に感じるものです。

ここでは、相続の税務調査の手順と税務調査での税理士の役割についてご紹介します。

1.相続税は税務調査が行われる可能性が高い

国税庁の公式発表では、令和元年に行われた相続税の税務調査の件数は10,635件です。前年の相続税申告件数は116,341件であったため、相続税の調査の割合は9.14%になります。

つまり、相続税申告書を提出した11人に1人に対して税務調査が行われている計算です。

また、令和元年の税務調査で修正申告の対象となる申告漏れ等の⾮違件数は9,072件であり、実に85.3%の調査で何らかの指摘を受けて追徴課税が発生しています。

2.税務調査の種類と行われる時期

相続税の税務調査には、事前に連絡があり調査の日時を調整して行われる任意調査と国税庁の調査査察部が裁判官の令状により行う強制調査の2種類があります。一般的に悪質な仮装隠蔽工作などがなければ、任意調査により相続税の調査が行われます。

相続税の調査が行われる時期については申告した翌年、または翌々年の秋ごろに行われる可能性が高いと言われています。これは、税務署の人事異動が7月10日になっており、人事異動後に調査先を選んで実際に調査を行う時期が秋ごろになるためです。

相続税の調査は申告書の提出順で審査が行われているため、必ずしも翌年に調査が行われるわけではなく、翌々年や3年後に税務調査が行われるケースもあります。

3.税務調査に選ばれるケース

相続税の税務調査は約1割の納税者に対して行われますが、決してランダムで選ばれているわけではなく、税務署が申告書を審査して追徴課税の可能性が高い申告書を選定しています。

税務調査に選ばれる可能性が高い相続税申告書の特徴は次の2つがあげられます。

申告書や評価額の計算が間違っているケース

相続税の計算方法や申告書の構成は複雑に作られています。

そのため、相続税申告書の作成に慣れていない人が作成すると計算ミスをしてしまうケースがあります。その他、相続財産の評価方法を間違えているなど、税務署が申告書を見て間違いが分かる場合は、税務調査が行われる可能性が高いです。

相続税に強い税理士に依頼している場合では、この理由で税務調査が行われる可能性は限りなく低くなります。

財産漏れがあるケース

税務署は相続税申告書だけを見て税務調査先を選んでいるのではなく、市役所や金融機関、保険会社などに情報の照会をかけることで申告書に記載されていない財産がないかをチェックして調査先を選定しています。

例えば、不動産については市町村から固定資産税の情報を照会することにより漏れがないかチェックすることが可能です。その他、銀行の取引内容をチェックし「生前に財産隠しを行っていないか」「贈与になる取引はないか」「親族名義で貯金しているものはないか」などのチェックが行われます。

令和元年の国税庁の公式発表では、動産や骨とう品など(その他の財産)が38.1%、現預金が36.5%、土地が12.2%、有価証券が11.2%の財産の計上漏れが報告されています。

4.税務調査の流れ

一般的に行われる任意調査はどのような手順で行われるのか簡単に見ていきましょう。

①税務署からの通知

税務署より税務調査の連絡があり、調査の日程を調整します。

税理士に依頼している場合は、直接納税者(相続人)に連絡がくるのではなく税理士を通して連絡があります。

②調査官からヒアリング調査

税務調査当日は、調査官から亡くなった人(被相続人)と相続人について様々な質問を受けます。

質問では相続人の回答と相続税申告書の内容の辻褄が合っているかどうか、税務署で照会した情報と食い違いがないか確認され、仮装隠蔽がないかどうかのチェックが行われます。

③実地調査

ヒアリングが終わると、貴重品が保管されている金庫や自宅の中の絵画や骨とう品、銀行の通帳などを実際に確認されます。

プライベート部分については確認を拒否することも可能ですが、調査官の心証が悪くなってしまいます。

④指摘事項の通知

調査で明らかになった指摘事項が調査官より通知されます。その内容を受け入れる場合は、後日修正申告書を作成し、追徴課税された相続税の納付を行います。修正申告による相続税の納付には延滞税に加え、過少申告加算税または重加算税が課されることになります。

調査官の指摘を受け入れられない場合は、税務署長に対して異議申し立ての手続きを行うことになります。

5.税理士に依頼するメリット

相続税の申告を税理士に依頼することで、適正な申告や二次相続を見据えた相続が行えることはもちろん、税務調査に対しても次のようなメリットを得ることができます。

書面添付制度が活用できる

書面添付制度(税理士法第33条の2)とは、相続税申告に申告書の作成過程などを記載した書類を添付し、税理士が「税務署に適正な申告書類であることを証明する制度」です。

添付書類には「どのような財産について」「どのような確認作業を行ったか」詳しく記載しなければなりません。税理士による詳細なチェックが入るため相続税申告書の完成度が増し、結果的に税務調査の確率を下げることに繋がります。

実地調査を回避できることがある

書面添付を行っている場合、税務署が不明な点を確認したいけど、調査までする必要はないという状況であれば、税理士への意見聴取だけになり実地調査が省略されることがあります。

税務調査で交渉できる

税務調査が行われた場合、税理士は調査官と納税者の間に入って対応します。

税務調査では、前もって準備している調査官からの質問に対して、専門知識のない納税者は不利になってしまいます。税理士が間に入ることで納税者に不利にならないように交渉を進めることができます。

まとめ

今回は相続税の税務調査と税理士に任せるメリットをご紹介しました。

相続税の税務調査の確率を下げるためには、適正で財産の漏れがない相続税申告書の作成が必要です。相続税申告書の作成を税理士に依頼することで、税務調査の確率を下げることができ「税務調査が入るかもしれない」という不安を軽減することができます。

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