生命保険を利用して節税&納税資金対策

生命保険を利用した節税対策はすぐに効果を発揮する方法です。相続税の節税対策として効果的な方法に暦年贈与があげられますが、暦年贈与は毎年少しずつ贈与を行うことで非課税枠を利用しながら相続財産を移転させる方法のため、早めから節税対策を行う必要があります。

それに比べ生命保険を利用すると短期間で節税対策ができ、しかも相続税の納税資金対策にもなります。

ここでは生命保険を利用した節税&納税資金対策をご紹介します。

1.生命保険が節税対策になる理由

死亡保険金を相続人が受け取った場合、死亡保険金は受取人の固有の財産ですが相続税の課税対象になります。相続税の課税対象になるのにもかかわらず、なぜ生命保険は節税対策として有効なのでしょうか。その理由を5つご紹介します。

理由①死亡保険金には非課税枠がある

死亡保険金には非課税枠が用意されており、非課税枠までの死亡保険金は相続税が課税されません。

非課税枠は法定相続人の数×500万円です。この非課税枠があるため、現金で財産を遺すよりも死亡保険金で財産を遺す方が相続税の節税対策として有効です。

法定相続人の数が多ければ多いほど非課税枠が増え、相続税対策に効果を発揮します。

例えば、死亡保険金が3,000万円で相続人が4人いた場合は法定相続人の数4人×500万円=2,000万円となり、死亡保険金3,000万円から非課税枠の2,000万円を控除した1,000万円に相続税が課税されることになります。

保険金の受取人が1人ではない場合

死亡保険金の受取人は複数人指定することができます。生命保険の契約時に死亡保険金受取人の欄に受取人全員の氏名と持ち分を記入することで複数人を指定することができます。死亡保険金の受取人が複数人いるときの非課税枠は、各々が受け取った保険金額により按分することになります。

例:死亡保険金 4,000万円
死亡保険金の受取額 配偶者2,000万円、長男1,000万円、次男1,000万円
死亡保険金の非課税額 「法定相続人の数3人」×500万円=1,500万円
配偶者の非課税枠 1,500万円×2,000万円÷4,000万円=750万円
長男と次男の非課税枠 1,500万円×1,000万円÷4,000万円=375万円

受取人が1人の場合で分割するときは贈与税の対象になるので注意

死亡保険金は相続税の課税対象になりますが、亡くなった被相続人から相続財産として承継されるものではありません。

そのため、死亡保険金は遺産分割の対象にならず、仮に遺産分割協議で保険金の受取人から他の相続人へ死亡保険金の全部または一部を分け与えることになった場合は死亡保険金の受取人から他の相続人への贈与があったものとして贈与税が課税されます。(死亡保険金が代償金の支払いに充てられた場合は該当しません。)

理由②納税資金対策に有効

相続税の納付は、亡くなってから10か月後までに現金で一括納付が必要です。相続財産に不動産や非上場株式などの現金化が困難な資産が多い場合、納税資金を捻出することができず延滞税のペナルティを課されるリスクがあります。

死亡保険金は、被保険者が亡くなった際にすぐに現金として受け取ることができます。受け取った現金を相続税の納付に充てることができるため、相続税の納税資金対策として有効です。

理由③争いが生まれない

遺産分割協議では「誰がどの財産をいくら相続するか」を巡り相続人の間で争いが発生することがあります。特に遺言書がない場合は被相続人の意思を確かめる術がないため、より争いが起こりやすくなります。死亡保険金については、受取人の固有の財産となるため遺産分割協議の対象になりません。

そのため、受取人は遺産分割協議することなく死亡保険金を受け取ることができ、相続人同士の争いを回避することが可能です。

また、受け取った死亡保険金を原資に代償金の支払いをすることも可能です。不動産など物理的に分割することが難しい相続財産が多い場合は、遺産分割協議が上手くまとまらない場合が多くあります。

遺産分割方法には、相続人の1人が不動産などの分割が難しい資産を相続し、遺産を取得する代わりに現金などを他の相続人に支払う代償分割という方法があります。

代償分割ではまとまった現金などの資産が必要になるため、死亡保険金で受け取る現金を原資として代償金の支払いをすることで相続人間の争いを回避することが可能です。

理由④相続人以外に財産を遺す方法にもなる

死亡保険金は相続財産を相続人以外の人に遺す方法の1つです。遺言書を遺すことで相続財産を相続人以外の人に遺すこともできますが、遺言書で指定すると他の相続人との間で揉める可能性があり、争いに発展する可能性があります。

死亡保険金の受取人に相続人以外の人を指定しておけば遺産分割協議を必要とせずに相続人以外の人に安全に財産を遺すことができます。

ただし、相続人以外の人が受け取る死亡保険金には非課税枠が適用されないため、注意が必要です。

理由⑤葬式代などにも利用できる

葬儀にかかる費用は、全国平均で約195万円とも言われています。死亡保険金は急遽必要になる葬儀費用などの支払いに利用することが可能です。亡くなった後の被相続人の口座は凍結されて引き出しができなくなってしまうため、葬儀費用などは家族(相続人)が用意することになります。

その際に有効な方法が死亡保険金を利用して支払いを行う方法です。葬式費用などは、負担した相続人の債務として相続財産から控除されることになります。

まとめ

今回は生命保険を利用した節税&納税資金対策についてご紹介しました。相続対策として生命保険を利用する方法は、時間をかけずにすぐにできる相続税対策として有効な方法です。特に相続人の数が多い場合は非課税枠が増加するため、節税効果が高くなります。

また、納税資金対策にもなり納税ができなくなるリスクを減らすことが可能です。その他、遺産分割対策などにも有効な方法ですので、相続対策を考えられている方は検討されることをおすすめします。

当会計事務所では、生命保険を利用した生前対策のご相談も承っております。お気軽にご相談ください。

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