相続税がかからない「非課税財産」とは

亡くなった人(被相続人)の財産には相続税が課税されます。

しかし、全ての財産に相続税が課税されるのではなく、一部の財産には相続税が課税されない非課税財産があります。

ここでは、どういった財産が非課税財産に該当するのかご紹介します。

1.財産が基礎控除以下であれば相続税がかからない

非課税財産をご紹介する前に、大前提として相続財産の総額が基礎控除以下であれば相続税が課税されず、相続税申告自体が必要ありません。相続税は全てのケースで発生するのではなく、被相続人が基礎控除を超える財産を保有している場合に相続税が発生します。

国税庁の発表では令和元年中に亡くなられた方は50,872人中、相続税申告の対象となった方は3,448人であり、相続税が課税された人の割合は6.8%となっています。

つまり、大半のケースが基礎控除以下であり、相続税申告を行っていません。

相続税の基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出されます。法定相続人が2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円になり、相続財産が基礎控除額以下であれば相続税の納税は発生しません。

2.非課税財産の種類

相続財産の中には、国民感情や社会的政策の観点から相続税を課税することに相応しくないものがあるため、次の相続財産には相続税が課税されません。

2-1.墓地・仏壇などの祭祀財産

墓地、墓石、仏壇、仏具などの祭祀財産は、非課税資産に相続税法上(租税特別措置法)で規定されています。祭祀財産の非課税は、国民感情として相続税を課税することに馴染まないためです。

2-1-1.墓地や仏壇は生前に準備することで節税が可能

祭祀財産は非課税財産になるため、生前に墓地や仏壇を購入することで相続税の節税が可能です。

仮に、相続が発生した後(亡くなった後)に相続財産の資金を使って墓地や仏壇を購入する場合、相続発生時には現金預金として課税されることになります。

しかし、生前に祭祀財産を購入していれば、その分現金預金が減少するため相続税の負担を軽減することが可能です。

ただし、金の仏壇や骨とう品としての価値が高いもの、過度に高価な仏具などは非課税財産と認められず、相続税の課税対象になってしまうケースもあります。売却することで現金化できる高額な祭祀財産は注意が必要です。

また、生前にお墓などの祭祀財産をローンで購入した場合で、相続発生時にローンの残高があるときですが、祭祀財産に関するローン残高については債務として相続財産から控除することができません。ローンで祭祀財産を購入する際は気を付けましょう。

2-2.宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

条文が難しいですが、公益を目的とする事業に使用される財産については非課税財産となります。

例えば、神社を営んでいたり学校を営んでいたりする相続人が神社の一部や校舎の一部を相続した場合には、それらの財産は非課税財産になります。

ただし、あくまでも公益のために使用される財産に限られます。学校に隣接した時間貸し駐車場などの敷地は、収益が発生する財産になるため対象外です。

財産を相続して2年経過する日までに公益目的として使用していない場合は非課税資産として認められず、相続税の課税対象となります。

2-3.国や地方公共団体へ寄付した財産

相続人が相続した財産を相続税の申告期限までに国や地方公共団体、認定NPO法人、特定の公益法人などへ寄付を行った場合、寄付した財産については相続税の対象になりません。

ただし、公益法人設立のために行う寄付については、相続税の課税対象になりますので注意が必要です。

また、特定の公益法人に寄付した財産は2年経過する日までに公益目的事業に使用されていなければ、相続税の非課税財産になりません。

2-4.生命保険金の非課税枠

相続発生に起因する生命保険金には、一定の相続税非課税枠があります。非課税枠が利用できる生命保険は、被相続人が被保険者になっている生命保険です。非課税枠は500万円×法定相続人の数で算出します。

例えば、受取金額が2,000万円の生命保険金で法定相続人が3人の場合、非課税枠は500万円×法定相続人3人=1,500万円となり、2,000万円から1,500万円を控除した500万円に相続税が課税されます。

ただし、生命保険金を法定相続人以外の人が取得した場合や相続放棄した人が取得した場合については、生命保険金の非課税枠を利用することはできません。

2-5.死亡退職金の非課税枠

死亡退職金についても、生命保険金と同様に一定の非課税枠があります。

死亡退職金の非課税枠は、500万円×法定相続人の数で算出します。非課税枠が利用できる死亡退職金の判断は被相続人の死亡後3年以内に確定した退職金かどうかで判定します。

また、相続が発生した時点で既に退職しており、相続発生後に退職金が確定した場合についても死亡退職金に該当し、非課税枠を利用することが可能です。

2-6.弔慰金の非課税枠

被相続人が亡くなると、勤務先から死亡退職金とは別に弔慰金を相続人が受け取るケースがあります。弔慰金は、故人を弔い、遺族を慰めることを目的としており死亡退職金とは異なります。

そのため、支給した会社では福利厚生費として取り扱われ、受け取った相続人は一定額まで相続税が課税されません。

相続税が課税されない弔慰金の金額については被相続人が業務中に死亡したのか、それとも業務外で死亡したのかによって異なります。

  • 被相続人が業務中に死亡した場合⇒死亡時の給与の3年分
  • 被相続人が業務外で死亡した場合⇒死亡時の給与の6か月分

もし、弔慰金が上記の金額を超過している場合、超過した部分については死亡退職金に加算して相続税の計算を行います。

まとめ

今回は相続税の非課税財産についてご紹介しました。

祭祀財産や公益目的で利用する財産や公益目的に利用される財産の寄付については非課税財産に該当します。

非課税財産以外にも生命保険や死亡退職金、弔慰金などの相続税を計算する上で控除することができる非課税枠が用意されています。相続税の計算では、非課税財産や非課税枠を見逃さないように気を付けましょう。

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