2021.06.07中小企業経営者の方へ
源泉所得税を毎月納付しなくてもOK 納期の特例のメリットとデメリット
会社が従業員を雇う場合、原則として従業員の源泉所得税を本人に代わって会社が毎月納税しなければなりません。ただし、一定の条件が揃えば源泉所得税を毎月納める必要がなくなる『源泉所得税の納期の特例』という制度もあります。今回はこの制度について、概要をご説明します。
源泉所得税の納期の特例の利用で
半年ごとの納付が可能に
源泉所得税の納期限は、原則として『給与などを支払った日の翌月10日』です。たとえば、9月末に従業員に給与を支払った場合は、10月10日までに納めます。しかし、毎月源泉所得税を納めるのは手間がかかるため、半年分をまとめて納付できる制度も用意されており、これを『源泉所得税の納期の特例』といいます。
納期の特例を利用できるのは『給与の支給人員が常時10人未満』の場合に限られますが、これを利用すれば、1月から6月に支払った給与については7月10日までに、7月から12月に支払った給与については翌1月20日までに納めればよいことになります。
手続きは簡単で、給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署長に申請書を提出すれば、翌月に支払う給与から適用されます。
納期の特例のメリットとしては、以下があげられます。
メリット① :事務負担が減る
源泉所得税を納付するためには、そのための計算や手続き、会計ソフトへの入力が必要となります。12回の納付が2回に減れば、それだけ事務作業の負担が減るということになります。
メリット② :納付遅れのリスクが減る
たとえば、納付書を使って金融機関で源泉所得税を支払う場合、毎月10日までに金融機関で支払いを済ませる必要がありますが、忙しいときには時間が取れず、納付が遅れることがあるかもしれません。納期の特例により支払い回数が減れば、こうしたリスクが減ります。
メリット③ :プール金が増える
納期の特例を使った場合、納付するべき源泉所得税を最大6カ月の間、預かり金として会社にプールすることができます。プール金が増えることで、急な出費にも対応しやすいというメリットがあります。
利用する前に確認しておきたい
納期の特例のデメリットとは
もちろん、納期の特例にはデメリットもあります。たとえば以下の点が考えられるでしょう。
デメリット① :1回の納付額が増える
納付回数が減るということは、1回の納付額が大きくなってしまうということ。たとえば毎月の源泉所得税が10万円ほどだとした場合、納期特例を使うと1回につき60万円というお金が出ていくことになります。会社にプールできるお金が増えるのはメリットですが、あくまでも預かり金であり、納付しなければならないお金であることを忘れないようにしましょう。
デメリット② :対象外の源泉所得税もある
納期の特例の対象となるのは『給与や退職金から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税』に限られています。フリーランスのデザイナーへの報酬など、納期の特例の対象ではない源泉所得税については毎月納付しなければならないため、業種によっては納期の特例のメリットを享受できないこともあります。
なお、従業員の数が常時10人未満の場合、源泉所得税だけでなく、住民税の納期の特例もあります。納期の特例にはメリットとデメリットがありますから、これらを理解し、利用を検討するようにしましょう。
大堀会計事務所は、高円寺・阿佐ヶ谷・梅里といった杉並区を中心として、中野区・武蔵野市などの城西地域を活動拠点としています。
30代の若手税理士が中小企業や不動産オーナーをはじめとした個人事業主の会計・税務をサポートいたします。
お悩みごとがありましたら、お気軽に電話かメールでご連絡下さい。
対応エリア
杉並区、中野区、武蔵野市、新宿区、三鷹市、その他東京23区、その他ネット利用により北は北海道から南は沖縄までサービス対応いたします。