2020.09.27中小企業経営者の方へ
労使間トラブル解決を目指す第三者の介入による紛争解決の手段とは
残業代の未払い、パワハラ、解雇や雇止めなど、労使間トラブルは後を絶ちません。こうした
トラブルを当事者同士で解決できない場合、第三者の介入による解決方法も模索しなくては
なりません。今回は、さまざまな紛争解決手段についてご説明します。
労使間トラブル解決のための個別労働紛争解決制度
2020年7月に厚生労働省が発表した『令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況』によると、2019年の総合労働相談件数は118万8,340件で、12年連続で100万件を超えたことがわかりました。
当事者同士で解決が難しい職場トラブルが起きた場合、『個別労働紛争解決制度』を利用して円満な解決を目指すという選択肢があります。各都道府県労働局および全国の労働基準監督署内に設置された『総合労働相談コーナー』で相談を受け付けており、労働者・事業主のいずれもが利用することができます。
相談の解決方法としては以下の2種類が用意されています。
①都道府県の労働局長による助言や指導
労働局が相談者に対し、相談に関連する法令・裁判例などの情報を提供します。相談者から助言・指導の申し出があれば、都道府県労働局長による助言・指導が実施され、解決すれば終了します。当事者に対して何らかの行動や措置を行うことを強制するものではなく、あくまでも自主的に解決することをサポートするものです。
②紛争調停委員会によるあっせん
助言や指導でも問題が解決しない場合、希望に応じて、紛争当事者の間に『あっせん員』と呼ばれる労働問題の専門家を交えての話し合いに移行します。あっせん員が双方の主張の要点を確かめて調整を行い、紛争の解決を図ります。
裁判所で行う労働審判や訴訟で解決を図るケースも
あっせんでも解決に至らなかったときには、『労働審判』により解決を図るという選択肢があります。労働審判の申し立て先は地方裁判所です。
労働審判では、当事者のほか、裁判官1名(労働審判官)と、労働関係の専門的な知識・経験を持つ2名の労働審判員で構成される『労働審判委員会』が紛争解決に関わります。労働審判では、訴訟手続と同様に、事前に証拠を準備し、的確に主張をする必要があります。
原則3回以内という定められた期日(裁判長が指定した日時)のなかで話し合いによる解決を試み、労働審判委員会が最終的に審判を行います。
労働審判で解決できなかった場合は『訴訟』に移行します。あっせんや労働審判では、基本的には当事者の意思を尊重しながら話し合いを進めていくのに対し、訴訟の場合は裁判所が結論を下すことになります。訴訟には期日の定めはないため、判決が出るまで年単位の時間を要することもありますし、控訴された場合は、解決までの時間がさらに長くなります。
なお、労働基準法に違反している疑いがあると判断された相談については、労働基準監督署や公共職業安定所などによる行政指導が入ることがあります。法定労働時間を大幅に超えた長時間労働や、残業代の不払いなどがこれにあたります。行政指導に従わない会社は、社名を公表されるなどのペナルティを受けることがあります。
会社としては、こうした労働紛争を未然に防ぐことが一番です。そのためにも法令を順守し、労務環境の整備に努めましょう。その一方で、万が一労働紛争に発展したときに備え、紛争解決のために用意されている各種制度について把握しておくことも大切です。
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