2021.08.12中小企業経営者の方へ
活躍するシニアが増加中
企業が定年を廃止するメリットは?
これまで65歳までだった定年引き上げなどの措置義務に、2021年4月から、70歳まで就業を確保する措置の導入が努力義務として加わりました。このような流れを受けて、定年を廃止する企業が増えています。今回は、定年制度廃止のメリットについて考察します。
定年年齢の引き上げと廃止
その背景にある労働力の減少
『高年齢者雇用安定法』は、少子高齢化による人口減少が進むなかでも、働く意欲がある人が年齢にかかわりなく活躍できる環境整備のための法律です。これまで65歳までの雇用確保が義務付けられていますが、それに加えて2021年4月の法改正では、その対象年齢が70歳まで引上げられました(努力義務)。法改正では他社への再就職や創業を支援するといった選択肢も増えました。
これに伴い、定年制そのものを廃止する企業も増えてきました。厚生労働省の『令和2年 高年齢者の雇用状況』調査によれば、定年制を廃止している企業数は、従業員31人以上の企業16万4,151社のうち4,468社で、前年より171社増加しています。全体のなかでは2.7%と、まだ数が多いとはいえませんが、今後も増加していくとみられています。
そもそも、定年が延長されてきたことの背景には、労働力の減少があります。少子化の影響により、現役世代の労働力が確保しづらくなっており、労働力を確保するためには、現在働いている人にもっと長く働き続けてもらう必要が出てきました。これが、定年制の廃止に拍車をかけているといえるでしょう。
企業と労働者、双方にある定年制度廃止の
メリット
では、定年制度を廃止することで、企業と従業員にはそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず企業にとっては、経験豊富で知識やノウハウを持つ社員を長期間確保できる点があげられます。定年制度を廃止すれば多様な経験を積んだ従業員を引き続き雇用できるため、、新人教育にかかる費用や時間を抑えられます。もう一つは、取引先や担当顧客との良好な関係を継続できることです。担当の変更などによる契約終了のリスクや顧客満足度の低下をなくすことができるでしょう。
従業員にとっても、定年制度がないことは大きなメリットになります。自分が望めば年齢制限なく働けることは、経済的な不安を軽減します。高年齢になっても社会とのつながりが保たれるという安心感も、生きる意欲や働く意欲の源になると考えられます。
定年制度を廃止する、または定年を引き上げることは、企業や従業員にとってさまざまなメリットがあります。しかしその反面、課題も生じます。健康リスクは高齢になるほど上がるため、従業員の健康管理や安全衛生にも配慮が必要です。また、年齢や能力に応じた人材配置も求められるでしょう。企業内の平均年齢が高くなることで、企業の新陳代謝が損なわれる可能性もあるかもしれません。高年齢者と現役世代、双方が活躍できる環境作りが大切です。
少子高齢化が進む日本において、労働力不足は今後も多くの企業が抱える課題といえます。人材を確保して労働力不足を解消するためにも、高年齢者が働きやすい仕組みを作っていきましょう。
大堀会計事務所は、高円寺・阿佐ヶ谷・梅里といった杉並区を中心として、中野区・武蔵野市などの城西地域を活動拠点としています。
30代の若手税理士が中小企業や不動産オーナーをはじめとした個人事業主の会計・税務をサポートいたします。
お悩みごとがありましたら、お気軽に電話かメールでご連絡下さい。
対応エリア
杉並区、中野区、武蔵野市、新宿区、三鷹市、その他東京23区、その他ネット利用により北は北海道から南は沖縄までサービス対応いたします。