2021.08.05ブログ
派遣社員の部署異動は問題あり?
労働者派遣法のルールを解説
「経理課で欠員が出たので、総務課の社員を経理課に回す」など、人員補充を目的とした部署異動は多いものです。しかし、正社員や契約社員などと違い、派遣社員の部署異動については労働者派遣法による制限があります。どのような内容なのか、確認していきましょう。
労働者派遣法によると部署異動は原則NG
正社員の場合、人員補充を目的とした部署異動が行われることは珍しくありません。しかし、派遣社員の場合はそうはいきません。派遣社員を保護するための法律として、通称『労働者派遣法』と呼ばれる法律があり、これによれば、基本的に、派遣先企業は派遣社員の部署異動を勝手に行ってはならないとされています。なぜなら、部署異動は、労働条件の変化や賃金の変更を伴うことが多いからです。
そもそも、派遣社員が派遣先企業で仕事を始めるときには、業務内容や就業場所、指揮命令者などを取り決めたうえで契約を締結します。
ところが、部署異動があると、業務内容や指揮命令者など、取り決めていた内容と実際の状況が異なってしまいます。派遣社員が、最初の契約より条件の悪い部署に異動させられることを防ぐためにも、部署異動は原則として禁じられています。
ただし、部署異動は完全に禁止されているわけではなく、以下のような条件を満たせば可能です。
●派遣社員と派遣先企業、双方の合意がある
派遣社員と派遣先企業がどちらも部署異動に同意している場合は可能です。
●一旦、契約期間を満了した
契約で定めた派遣期間が満了した後でなら、新たに契約を結び直すという形で部署異動が可能です。
●常用型派遣である
派遣には、『登録型派遣』と『常用型派遣』の2つの種類があります。このうち、派遣元企業に社員または無期雇用として雇用され、派遣先で勤務する常用型派遣であれば、部署異動に制限がありません。
派遣社員を部署異動する時の契約に関する注意点
もし、派遣社員が部署異動に同意したら、まず異動の手続きに入ります。就業場所や業務内容、指揮命令者などがこれまでと変わるため、契約は新たに結び直すことになります。その際には以下の点に注意してください。
●賃金を変える必要が出る
同一労働同一賃金のベースにある考え方は、『正規雇用と非正規雇用の待遇差をなくす』ことです。同じ仕事をしている人には同じ賃金を払おうという考え方なので、部署を異動して仕事内容が変われば、賃金も変わる可能性があります。
●抵触日が変わる
契約書には派遣期間が記されており、期間が終わった最初の日が抵触日となり、部署異動のために新たに契約を結び直すと、抵触日も変わります。
このように、一定条件下であれば派遣社員の異動は可能です。ただし、異動後に「異動したくないのに、無理にさせられてしまった」「説明と違う条件で再契約させられた」などと労働基準監督署に訴えるトラブルも多発しています。説明を重ね、合意をとりながら慎重に進めることが大切です。
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