2021.06.29ブログ
公正かつ自由な競争を行うために! 独占禁止法の目的と規制を再確認
市場において企業間の競争がなくなってしまうと、より安い商品やよりよい商品を選ぶことができなくなるなど、消費者のメリットが奪われる可能性があります。そこで、公正かつ自由な競争を守るために、『独占禁止法』が存在しています。今回は、その概要について説明します。
公正かつ自由な競争を実現するための規制
公正取引委員会によれば、独占禁止法の趣旨は『公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすること』にあります。
たとえば、車のエンジンを製造するA社が国内のエンジンのシェアを7割占めているとします。車のエンジン製造事業に参入したいほかの会社もいるわけですが、A社としてはできるだけシェアを明け渡したくはないはずです。そこで競合他社に、A社の価格よりも低い価格で販売させないように圧力をかけたり、取引先に取り入って自社以外と取引をしないように求めたりして、競合他社の参入を邪魔しようと考えるかもしれません。
こうした行為が認められてしまうと、自由な競争ができない市場ということになります。独占禁止法では、このような公正かつ自由な競争を妨げる行為を規制しています。具体的には以下のものがあります。
●私的独占の禁止
市場に新規参入しようとする競争相手を排除したり妨害したりすることを禁止しています。競争相手の会社の株式を取得して子会社化する・競争相手がとても実現できないような、不当に低価格の商品を販売するなどがその例です。
●不当な取引制限の禁止
カルテルや入札談合のような、不当な取引制限を禁止しています。カルテルとは、本来は各事業者が自由に決めるべき価格や生産・販売数量などを、複数の事業者が共同して取り決めてしまうことをいいます。また、入札談合とは、主に公共工事の入札の際、競争入札に参加する企業同士が事前に話し合って入札金額を決め、協定することをいいます。
事業者単体だけではなく市場への阻害も防ぐ規制
●事業者団体の規制
カルテルや入札談合などの違法な行為が、2つ以上の事業者で構成される社団や財団、組合等の団体で行われることもあります。独占禁止法では、事業者団体のこうした行為を禁止しています。
●合併や株式所有などの企業結合の規制
ある商品について国内で高いシェアを占める企業同士が合併などを行うと、市場の価格や販売量をコントロールし、実質的に競争を制限することができるようになる場合があります。そのようなことを阻止するため、一定要件に該当する企業結合を禁止しています。
●独占的状態の規制
50%超のシェアを持つ事業者などがいる場合で、市場への弊害が生じていると認められるときには、その事業者に営業の一部譲渡を命じるなど、独占的状態を解除して市場の自由な競争を回復するための措置がなされることがあります。
●不公正な取引方法の禁止
『競争手段が公正とはいえないこと』『自由な競争の基盤を侵害するおそれがあること』などの観点から、公正な競争を阻害する恐れがある取引を禁止しています。たとえば、正当な理由なくある事業者に対して供給を拒絶したり、差別的な取り扱いで事業活動を困難にしたりするなどの行為が当たります。
そして、以上の規制にあわせて知っておきたいのが『下請法に基づく規制』です。下請法は、立場が弱くなりがちな下請事業者の取引の公正を守るため、下請事業者の利益の保護について定める法律です。
独占禁止法の規制内容を把握し、常に公正かつ自由な取引をするように心がけましょう。
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