2021.06.18ブログ
会社に認められている『採用の自由』 不採用の理由にしてはいけない条件とは
会社には、書類選考や面接などを行い、求職者がその会社に適した人材かどうかを慎重に見極めてから採用する『採用の自由』が認められています。
では逆に、不採用の理由にしてはいけない条件はあるのでしょうか?
なぜ会社の採用基準は『自由』でよいのか
会社は、どのような基準で社員を採用するかを自由に決めることができます。なぜなら、法律上で会社は公の組織ではなく、『私人』と同じような扱いを受けるからです。
法律において、会社が人を採用するということは、私人と私人の契約のようなものであると理解されています。そのため、『契約は基本的に当事者同士で自由にすることができる』という、『契約自由の原則』が認められているのです。
とはいえ、無制限に自由が認められているわけではありません。「女性だから採用しない」「特定の宗教だから採用しない」などの理由で、業務内容と関係のない不当な差別をしていると判断された場合、違法になってしまう可能性もあります。
採用の自由と応募者の権利が対立し、争われた裁判例としては、『三菱樹脂事件』がよくあげられます。これは、学生運動に参加していた事実が発覚した内定者が本採用を拒否された事件で、裁判により和解が成立しました。
ほかにも、ホステスのアルバイトをしていたことが発覚した女性アナウンサーが内定を取り消された事例や、在日韓国人であることを理由に内定を取り消された事例など、さまざまな事件が裁判で争われてきました。いずれも、応募者側の訴えが認められた上での和解または勝訴になり、就職や配属の希望が通っています。
このように、原則的には採用の自由が認められてはいるものの、決して無制限ではありません。不採用の根拠によっては、応募者側の権利が尊重されることもあるのです。
条件があるなら選考中に
採用前の調査なら合法
先に述べた採用の自由は、ひとたび入社させてしまうと解雇しづらくなる日本の会社制度の裏返しともいえます。会社が社員を解雇するには、さまざまな法的制限があり、なかなか自由にはできません。その分、入り口でじっくり審査する自由は保障されているのです。したがって、採用するかどうかを吟味している段階においては、さまざまな希望や事情について、自由に検討することができます。
さきほど例にあげた三菱樹脂事件の判決でも『企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為とすべき理由はない』と判決文に書かれており、会社が採用時に踏み込んだ調査を行うことは禁止されていないことがわかります。
ただし、会社側に調査の自由があるからといっても、応募者にはプライバシーがありますので、採用とは関係のない個人情報の収集や過度な調査によるプライバシー侵害にならないようくれぐれも留意しなければなりません。
一旦内定を出した後で、政治、宗教などを理由とする内定の取り消しは差別的取り扱いとなる可能性があります。選考期間中に希望する条件の人材かどうか、よく確認しておくことが重要です。
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