2021.06.17ブログ
会社設立にかかる経費の勘定科目 『開業費』と『創立費』とは
会社を設立するときには、事業開始のためのコストがかかります。会計上は、これらのコストを『開業費』や『創立費』として計上できることになっています。
そこで今回は、開業費や創立費の取り扱い方について解説します。
開業費と創立費の違いと
これらを計上するメリット
新たに法人を立ち上げるとき、多くの場合、開業準備のためのコストがかかります。たとえば、会社用の什器や市場調査費、広告宣伝費、定款の作成費用、設立登記の登録免許税などがあげられるでしょう。
これらの費用は、会社設立前に生じたものであっても『開業費』や『創立費』という勘定科目で経費計上をすることができます。開業費と創立費は、一般的に以下のように区別されます。
●創立費
会社を創立するためにかかった費用。たとえば、創立事務所の賃借料、設立登記の登録免許税、会社印の作成費用などです。創立費は基本的に定款に記載しておく必要がありますが、例外もあり、設立登記の登録免許税などは不要とされています。
●開業費
会社を創立してから事業を開始するまでの開業準備費用。たとえば、チラシなどの広告宣伝費、備品や消耗品費など、開業にあたって“特別に”支出した費用を指します。“毎月決まって発生する”事務所家賃や水道光熱費などは含めず、それぞれに適した勘定科目で計上します。また、10万円以上の固定資産も開業費には含めず、各固定資産として計上します。
開業費と創立費の勘定科目を使う大きなメリットは、『繰延資産』として計上でき、中小企業の場合は任意のタイミングで償却できることです。創立後、ビジネスが安定して軌道に乗るまでに年単位の期間がかかることも少なくありません。利益が見込まれないうちは開業費や創立費を繰延資産として計上したままにしておき、大きく黒字が出始めたタイミングで費用計上すれば、節税効果が期待できます。
開業費と創立費の会計処理方法
開業費と創立費の会計処理は、次のようになります。(例:支出が5万円の場合)
<会社設立時>
【借方】創立費 5万円/【貸方】現金 5万円
【摘要】登録免許税
<任意の会計年度の決算時>
【借方】創立費償却 5万円/【貸方】創立費 5万円
開業費の仕訳も同様です。いずれも繰延資産として計上し、翌年以降、任意のタイミングで任意の額を費用化するという流れです。未償却分については、翌期以降に繰り延べることになります。
なお、すでに事業を行っている法人が、新規事業を立ち上げるとき、市場の開拓や新たな販路を拓くために発生する市場調査費や広告宣伝費などは、開業費にはできませんが、『開発費』として計上することができます。開発費とは『新たな技術もしくは新たな経営組織の採用、資源の開発または市場の開拓のために特別に支出する費用』のことをいいます。創立費や開業費と同じく、繰延資産として計上後、任意のタイミングで費用化して償却することができます。
創立費や開業費、および開発費の勘定科目の取り扱いを正しく理解し、しかるべきタイミングで計上して節税対策につなげていきましょう。
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