2021.06.10ブログ
法人税も工夫すれば節税可能 中小法人向けの特例をチェックしよう
企業には法人税を支払う義務があり、たとえ高く感じられてもきちんと納税しなければいけません。ただし、法人税には中小法人向けの特例があり、条件が合えば税額を減らすこともできます。今回はこの制度について、概要を紹介します。
企業にかかる法人税 実は多くの特例がある
仕事で収入があった個人は、一定の割合で国に所得税を納めることになっています。会社も同じように、その年に得た収益に応じて法人税を納めるように決められています。
しかし、法人税には個人の支払う所得税と大きく違う点もあります。大きな違いは、累進課税制ではないということ。法人の種類によって税率は異なりますが、一定税率制であるため、大きく利益が出たとしても税率は変わりません。また、申告期限についても、個人は一律で期限が決められていますが、法人税の場合は法人の決算月によって申告期限が異なるなどの違いもあります。
この法人税については、中小法人に対して多くの特例が設けられています。これらを利用すれば、控除や還付などが受けられ、節税効果があるのです。
ここでいう中小法人とは、一般的に資本金の額が1億円以下の会社を指しますが、親会社が大法人に当たるなどの場合には、中小法人に含まれないこともあります。『中小法人』の定義は制度によって若干異なるため、利用しようと考えている制度ごとに該当するかどうかを調べる必要があります。
では、中小法人を対象とする特例についていくつかご紹介します。
特例① 貸倒引当金の損金算入
売掛金として計上していたにもかかわらず、相手方の倒産や資金繰りの悪化などによって売掛金を回収できない場合や、貸付金などの債権が回収できない場合などにより貸し倒れてしまうことがあります。
この場合、会計上は貸倒引当金として計上することになりますが、中小法人においては貸倒引当金を損金として算入することができます。
ほかにもある中小企業向けの特例欠損金の控除や還付など
特例② 欠損金の繰越控除(青色法人が対象)
事業において赤字(欠損金)が出てしまったとき、その欠損金については繰越控除を受けることができ、翌事業年度以降に出た所得から控除ができます。たとえば1年目に欠損金が1,000万円、2年目に黒字になって課税対象額が5,000万円だった場合、繰越控除を使わなければ2年目には5,000万円に法人税が課税されます。
しかし繰越控除を使うと1年目の欠損金を2年目に繰越でき、2年目は【5,000万円-1,000万円=4,000万円】と法人税の課税が少なくなります。
特例③ 欠損金の繰戻還付(青色法人が対象)
欠損金の繰戻還付とは、生じた欠損金をほかの事業年度に繰り戻すことで、すでに納税している法人税について還付を受けられる制度です。
繰り戻せる事業年度は『欠損金額が生じた事業年度開始日の前、1年以内に開始している事業年度』であることが要件となっており、繰戻可能年数は、欠損金が生じた事業年度がいつであるのかによって変わってきます。
特例④ 交際費の損金算入
交際費は原則的に経費になりませんが、一定の金額は損金として算入することが認められています。中小法人であれば、交際費のうち年間800万円までか、『接待飲食費』の50%分のいずれかを選択して損金に算入することができ、これは大企業よりも有利となります。
このように、中小法人にはさまざまな特例措置があり、要件に該当する場合は、税額が少なくできるかもしれません。利用できるものがあるかチェックしてみてもよいでしょう。
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