2020.10.27中小企業経営者の方へ
休日や業務時間外に研修を行う場合 給与や手当を支払うべき?
新入社員研修やビジネスマナー研修、業務に関する専門的な研修など、会社は社員に対してさまざまな研修を用意します。なかには、休日に研修を設定する場合もあるでしょう。こうした研修時の給与や手当について、正しく認識できているかどうかを確認してみましょう。
強制参加の研修の場合は
賃金の支払い義務が生じる
会社は、社員の受ける研修が『労働時間に当たる』場合、給与を支払わなければなりません。厚生労働省の『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』(2017年1月20日策定)によると、参加することが業務の一部として義務付けられている研修や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は、労働時間に当たるとされています。
たとえば新人研修などのように、会社がカリキュラムとして設定している研修があります。こうした研修は強制参加であるケースが多く、その場合は業務の一環だと判断され、労働時間に該当します。つまり、給与の支払い義務が発生することになります。
一方、会社がスキルアップなどを目的とした研修を用意しており、それを社員が自由意志で受けるという場合には、研修を受ける時間が業務(労働時間)に当たるとは判断されません。つまり、給与を支払う必要はありません。
ただし、参加するかどうかが昇進や昇給に影響するなど、参加しないと不利益を被るような場合は事実上の強制参加とみられ、給与の支払い義務が発生します。
所定労働時間外や所定休日の研修は
別途給与の支払いが必要となる
また、所定労働時間外や所定休日に強制参加の研修を行う場合は、その時間分の給与の支払いが必要になります。
なお、労働基準法では、原則として1日8時間、週40時間という『法定労働時間』を超えて社員を働かせてはなりません。これを超えて働かせる場合は36協定が必要で、かつ超えた分については、時間外労働として、25%の割増賃金を支払う義務が生じます。
また、休日についても、少なくとも週1日以上、または4週に4日以上の休日を与えなければならず、これを『法定休日』と呼びます。法定休日に研修を行う場合は、休日手当として、35%の割増賃金を支払う義務が生じます。
こうした人件費の負担をできるだけ抑えるためには、可能な限り通常の勤務時間内に研修をスケジューリングすることがポイントです。繁忙期が個人や部署で異なる場合は、各自の空き時間に受けられるようe-ラーニングなどを導入するのも一つの方法です。
また、人件費やコストという点では、『誰を講師に立てるのか』も重要です。社員を講師にする場合はその人件費がかかりますし、外部機関に委託する場合は参加費や交通費がかかります。このほか、専門家に直接声をかけて会社に来てもらう、オンライン研修を利用するなど、選択肢はさまざまありますから、コストと研修効果のバランスを考えて、ベストな方法を選んでいきましょう。
社員教育のために、各種研修は必要です。業務命令で受けさせるものは法律の定めのとおりに給与や手当を支払い、社員にはしっかりと研修の内容を身につけてもらいましょう。
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