2020.10.26ブログ
もし会社が倒産の危機に陥ったら 2つの再生手続きとその留意点
会社を経営していれば、業績が悪化することもあります。こういった、破綻寸前の会社を、瀬戸際で復活させる手続きが『企業再生』です。一時的に危機に陥ったからといって、必ずしも会社が潰れてしまうわけではないのです。今回は、企業再生の種類や留意点についてお伝えします。
裁判所がバックアップする
『法的再生』のメリットとは
もし企業が倒産してしまったら、金融機関をはじめ、債権者が、金銭を回収することは困難です。破産手続きにより支払われる金銭は、雀の涙ほどの金額になるかもしれません。
しかし、企業が企業再生の手続きを踏んで復活すれば、経営者や従業員の生活が今まで通り続けられるだけではなく、債権者にとっても貸したお金が返ってくる可能性が高まります。企業再生がうまくいけば、当事者の企業のみならず、債権者にとってもメリットがあるのです。
ひと口に企業再生といっても、いろいろなやり方があります。裁判所の強力な後ろ盾を得ながら、事業を建て直す『法的再生』もあれば、経営者が自ら債権者のもとをまわり、債権を整理していく『私的再生』もあります。
まず、法的再生では、裁判所に予納金を支払い、再生計画をもとに事業を建て直していきます。
司法の介入が始まると、これまで企業活動を圧迫していた取り立てや差し押さえが、強制的に中断させられます。企業は、ひとまず平常運転に戻って、事業の建て直しに集中できるのです。また、再生計画案に債権者全員の合意が得られなくても、一定の要件を満たせば、事業再生をすすめられます。すべての手続きにおいて、裁判所の強力なバックアップが得られ、二人三脚で復活に向けて取り組めるのが最大のメリットです。
一方で、法的再生にも欠点はあります。手続きが始まると『手続きに入っている』ということが世間的に公になってしまうのです。これが信用不安を招き、計画がうまくいかなくなるリスクはあります。
裁判所を介さず行う『私的再生』
法的再生とは別に、裁判所を介さずに行う『私的再生』についてもご説明します。
私的再生には決まった手続きなどはありません。会社をいままで通り運営しながら、金融機関や債権者を個別に回って、支払時期を遅らせてもらう、分割払いにしてもらう、さらには債権を放棄してもらうといった交渉を持ち掛け、示談・和解のもとで債務を整理していきます。
私的再生では、関係者のみが関与することから、一般には経営難であることがわかりづらく、企業価値が損なわれにくいという大きなメリットがあります。
法的再生との大きな違いは、一部の強硬な金融債権者が反対をすると、再生計画が成立しないことです。さらに、債権者が抵当権を実行してしまえば、抵抗することも不可能なので、競売によって工場などが売却されてしまい、事業が継続不可能になる
可能性もあります。
法的再生手続きでは、再生計画に従ってしか返済されないため、「私的再生にとどめておけばより多くの金銭が回収できます」と債権者を説得できれば、交渉は成立しやすいでしょう。逆に、それが難しければ交渉は成立せず、法的再生の手続きに移ることになります。
このように企業再生にはいくつかの選択肢があります。どの方法がよいかは会社によりますが、いずれにせよ、債権者の理解を得る努力が必要です。
大堀会計事務所は、高円寺・阿佐ヶ谷・梅里といった杉並区を中心として、中野区・武蔵野市などの城西地域を活動拠点としています。
30代の若手税理士が中小企業や不動産オーナーをはじめとした個人事業主の会計・税務をサポートいたします。
お悩みごとがありましたら、お気軽に電話かメールでご連絡下さい。
対応エリア
杉並区、中野区、武蔵野市、新宿区、三鷹市、その他東京23区、その他ネット利用により北は北海道から南は沖縄までサービス対応いたします。