2020.01.31中小企業経営者の方へ
トラブルを未然に防ぐために知っておきたい労働基準法の基礎知識
近年、従業員や退職者が経営者に対して未払残業代や未払退職金を請求するといった労使紛争が増えています。
トラブルを紐解くと、経営者が労働基準法を熟知していないために起きているケースが多いものです。
そこで知っておきたい労働基準法の基本を解説します。
労働基準法は弱い立場の労働者を守るための法律
経営者が労働基準法を知らないことで起きるトラブルには、たとえば、以下のようなケースがあげられます。
●退職金の取り決めがなされているのに退職金が支払われていない
●残業しているのに給与に反映されていない
●在職中に有給休暇を取らせてもらえなかった
●上司と口論になって「辞める」と発言したことにより、圧力を受けて退職させられた
●正社員として働いていたところ仕事が原因でケガをしてしまい、休職後復帰したが退職に追い込まれた
こうしたトラブルには主に労働基準法が関わっています。
そもそも労働基準法は、経営者側ではなく、一般的に経営者よりも弱い立場に立たされることが多い労働者を守るための法律です。
まずは、この点を理解しておくことがとても大切です。
労働者を守るための法律であるため、労働基準法では労働者ではなく経営者に多くの義務が課せられています。
また、労働基準法を経営者が守らなかった場合、経営者には罰則が科されることもあるのです。
たとえば従業員に強制労働をさせた場合、1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金となります。
また、法定休日として必ず週に1日以上は休日を与えなければならないとされていますが、休日を与えなかった場合には6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金となります。
労働基準法で経営者に課せられている義務とは?
労働時間や有給休暇などについては、労働基準法で明確に定められています。
・労働時間・休憩
労働基準法では、法定労働時間を1日8時間・週40時間以内としています。
これを超えて従業員に労働させる場合は、『36協定』という時間外労働の協定書を従業員代表者との間に結ばなければなりません。
また、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を与えることも義務づけられています。
・年次有給休暇
正社員のように週5日以上勤務し、継続勤務年数6カ月以上の従業員には有給休暇を10日付与。
その後勤続年数が増えるごとに付与日数は増加します。
パートタイマーなどの時短勤務で週4日以下の勤務の場合でも、継続勤務年数と1週の勤務日数に応じて年次有給休暇が付与されることになっています。
有給休暇の付与はフルタイム勤務の従業員だけではありません。
また、2019年4月からは年に10日以上有給休暇が付与される全ての従業員(管理職を含む)に年5日の有給休暇を消化させることが義務付けられました。
・産前産後休業
産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得でき、本人の希望によっては取得しないことも可能です。
産後休業は出産の翌日から8週間とされていますが、出産の翌日から6週間までは本人の希望にかかわらず就業させてはいけません。
近年増えている労働者と経営者のトラブルの根底には、経営者の労働基準法に対する認識が足りないことが原因となっています。
改めて労働基準法の重要なポイントについて押さえておきたいところです。
大堀会計事務所は、高円寺・阿佐ヶ谷・梅里といった杉並区を中心として、中野区・武蔵野市などの城西地域を活動拠点としています。
30代の若手税理士が中小企業や不動産オーナーをはじめとした個人事業主の会計・税務をサポートいたします。
お悩みごとがありましたら、お気軽に電話かメールでご連絡下さい。
対応エリア
杉並区、中野区、武蔵野市、新宿区、三鷹市、その他東京23区、その他ネット利用により北は北海道から南は沖縄までサービス対応いたします。