2020.01.23中小企業経営者の方へ
従業員とともに損害賠償責任を負う!『使用者責任』の範囲とは
従業員が違法行為をして損害賠償を請求されたとき、会社も連帯して責任を負う『使用者責任』。
使用者責任は、基本的には業務中の行為について負うものですが、業務外の行為について負うケースもあります。
今回は、使用者責任の範囲や判断基準について考えます。
使用者責任を負うのは『事業の執行』に当たる場合
本来、事件や事故による損害賠償責任を負うのは、それを起こした本人です。
しかし民法では『ある事業のために他人を使用する者は、被用者(従業員など使用されている者)がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う』と定められています(民法715条)。
これを『使用者責任』といいます。
被用者がミスなどで第三者に損害を与えた場合、被用者に加え使用者も損害賠償責任を負うわけです。
使用者責任は“事業のために他人を使用して利益を上げているのだから、その他人が起こした損害についても会社は責任を負うべきだ”という『報償責任』、そして“事業のために他人を使用して活動領域を広げ、社会への危険性を増大させているのだから、その危険性が現実化した場合には責任を負うべきだ”という『危険責任』が根底にあると考えられています。
ただし、使用者が被用者の選任や事業の監督について相当の注意を払っても損害を防ぐことができなかったときは、使用者責任は免責されます。
使用者責任で問題になりやすいのが『事業の執行』の範囲です。
たとえば、配送業者が社名が書かれた社有車で荷物の配送中に事故を起こした場合は『事業の執行』の範囲内であることはイメージできます。
では、この社有車で休日にプライベートの用事で出かけているときに事故を起こした場合はどうでしょうか。
このような場合も『事業の執行』とされ、使用者責任が問われる可能性が高いでしょう。
なぜなら、社名が書かれた社有車に乗っているため、外観上は仕事中であると考えられるからです。
ちなみに外観上は事業の執行の範囲内に見えても、社有車の同乗者が自損事故に巻き込まれ負傷したケースなど“加害者(=被用者)がプライベートで運転した”ことを事故の被害者が知っていた場合は使用者責任は問われません。
『被用者』に含まれる雇用形態とは?
次に問題になりやすいのが、『使用者と被用者の使用関係』です。
会社に従業員として勤務しており、雇用関係がある場合は“使用関係がある”といえます。
しかし、フリーランスや下請け業者が事故や事件を起こした場合や、日雇い労働者の場合は、使用関係があるといえるのでしょうか。
使用関係については、事実上の“指揮監督関係”さえあれば認められると考えられています。
そのため、正社員やアルバイトなどの雇用関係にないフリーランスや下請け業者、日雇い労働者であっても、指揮監督関係があれば会社側は使用者責任を問われることになります。
ちなみに、家族に一時的に店番をさせていた場合なども、契約関係がなくても広く使用関係が認められます。
使用関係は雇用関係や契約関係の有無を問わず、誰かに何かを頼んだだけで認められるのです。
使用者である企業は、従業員がミスや事故などで第三者に損害を与えることがないよう、あらゆる事例を想定して防止に努める必要があります。
従業員にもこうしたリスクを知ってもらい、日頃から気を引き締めて業務にあたるよう呼びかけていくことが大切です。
大堀会計事務所は、高円寺・阿佐ヶ谷・梅里といった杉並区を中心として、中野区・武蔵野市などの城西地域を活動拠点としています。
30代の若手税理士が中小企業や不動産オーナーをはじめとした個人事業主の会計・税務をサポートいたします。
お悩みごとがありましたら、お気軽に電話かメールでご連絡下さい。
対応エリア
杉並区、中野区、武蔵野市、新宿区、三鷹市、その他東京23区、その他ネット利用により北は北海道から南は沖縄までサービス対応いたします。