2019.12.06中小企業経営者の方へ
業務は停止、でも会社は存続?『休業』の意外なメリットとは
経営不振で会社を閉じたいとしても、廃業にはさまざまな費用が発生します。
事業から完全にリタイアするわけではなく、将来事業を再開する見込みがある場合には、『休業』のほうがメリットは大きいといえます。
今回は、休業の仕組みや手続きについて、詳しく解説します。
廃業よりも手軽で費用もかからない
起業したものの業績が伸び悩み、一度、会社勤めに戻る決断をした場合でも、数年後に事業を再開する可能性があるなら、『廃業』ではなく、『休業』という選択肢もあります。
法人を廃業させる場合は、廃業日を決めて解散登記をし、財産の売却や現金化、債務返済などの清算手続きをした後に清算結了登記を行います。
また、税務署と市区町村に廃業を申し出るために異動届出書を提出するほか、健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を年金事務所に送付して社会保険に関する資格喪失手続きもしなくてはなりません。
税理士や司法書士、法務局などへのさまざまな手数料を換算すると、かなりの出費が必要となります。
一方で休業をする場合は、自治体や税務署に異動届出書を提出するのみとなります。
休業届という書類はなく、この異動届出書に休業する旨を記載して提出することが手続きとなります。
この届を提出しても登記はそのまま残っているので、法人は事業を行っていないだけで存続していることになります。
社会保険関係については、休業届と同様に健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を年金事務所に送付して資格喪失手続きをする必要があります。
事業を再開したい場合には、休業の際と同様に、異動届出書に事業を再開すると記載して自治体や税務署に提出し、年金事務所に再度、健康保険・厚生年金保険適用事業所届を提出します。
あとは、通常通りに確定申告をするだけになります。
つまり、事業を再開する可能性があるのならば、廃業よりも休業のほうがメリットが大きいといえます。
休業であっても生じる『税務申告の義務』
休業しても法人としては存続しているので、税務申告の義務が生じます。
所得がないので法人税の納付はありませんが、地方法人税の均等割りについては納税しなければなりません。
しかしこれも自治体によっては、休業状態の法人については免除される場合もあります。
青色申告をしている場合には、所得がないからと税務申告せずにいると、青色申告の承認を取り消されてしまうので、忘れずに行いましょう。
また、役員変更登記手続きも必要です。役員の任期満了に伴って、役員変更の登記手続きをしなければなりません。
休業中だからと手続きを怠ってしまうと、100万円以下の過料が発生します。
ほかには、法務局で数年に一度行われる“みなし解散”にも注意しなければなりません。
最後の登記から12年が経過している休眠会社や休眠一般法人は、法人としての実態がなく解散したものとみなされてしまいます。
まず、法務大臣による官報公告が行われ、その旨が登記所から対象の法人に通知されます。
通知から2カ月以内に、まだ事業を廃止していない旨の届け出か登記申請をしない限り、解散したものとみなされて、登記官により解散の登記がなされてしまいます。
法人の休業は、廃業に比べてコストも低く、事業を再開する見込みがあるのであれば選択するメリットは高いといえます。
しかし、会社が存続しているとの認識を持ち、登記や税務に関する手続きは事業を行っている場合と変わらずに行う必要があります。
廃業するか、それとも休業か。経営不振などで会社の存続に迷ったら、今後その法人をどうしたいのか、十分に検討しましょう。
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