2019.12.06中小企業経営者の方へ
労働者の不当解雇を巡って支払った解決金の税務上の取り扱いとは?
労働者の解雇を巡って、労使双方が和解するために、使用者側から労働者側へお金が支払われる場合があります。
これを解決金といいます。
では、解決金を払った場合、税務上の扱いはどうすればいいのでしょうか。
解決金の支払いの決定方法と共にご紹介します。
解決金の支払い金額を決定する判断基準とは?
のちに労働裁判になって「不当解雇ではないため、解決金を支払わなくてもよい」と判断されることもありますが、一度、労働審判になってしまったら、判決による不当解雇の有効性・無効性にかかわらず、和解のために解決金を支払う場合が多くあります。
支払い金額はケースによってまちまちで、相場はありません。
考え方としては、
(1)給与〇カ月分といった月給単位
(2)解雇期間中における給与分
(3)労働者側に過失があるとみなされる場合には、使用者との間で責任割合を決めるなどがあります。
ただし、(1)(3)については、労働審判委員会の心証によって決定される場合がほとんどです。
また、申し立て内容の有効性・無効性も判断の材料となり、解決金の額は増減します。
解決金の税務上の取り扱いはどのような性質かによって変わる
解決金として労働者側に金銭を支払った場合においても、企業の源泉所得税の納付が免除されるわけではありません。
また、その一方で、解決金を退職所得として企業が源泉徴収を行ったことを違法とした例もあります。
では、解決金として労働者側に金銭を支払った場合、税務上はどのような取り扱いになるのでしょうか。
ここで大切になってくるのは、労働者に支払った解決金がどのような性質を帯びているか、しっかり見極めることです。
通常の給与と同様に、賃金としての性質が強いようなら、源泉所得税の納付義務が発生します。
解雇期間中の給与分や未払い残業代などの請求がこれに当たります。
この場合、退職を起因として一時的に支払われるものであれば、“退職所得”に該当することになります。
また、不当解雇と認定され、当該労働者が復職をした場合には、過去の給与を支払ったという考え方から、通常通り“給与所得”とみなされるのが適当になるのです。
このほかに、解決金の支払いが精神的苦痛などに対する慰謝料としての性質が濃い場合には、“損害賠償金”として損金算入することができ、源泉徴収の対象とはならないことになります。
解決金は、実質的に何を支払ったのかによって対応する勘定科目が異なります。
そのため、解決金の扱いについては、支払いの性質を見極めることが肝心です。
とはいえ、そもそも労働紛争がなければ頭を悩ます必要もありません。問題となりそうな点を見直して、あらかじめ対策を立てておくことも大切なことと心得ましょう。
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