2019.11.15中小企業経営者の方へ
防災用品の購入費は、用途によって勘定科目が異なる!?
地震や土砂崩れ、噴火など多くの災害に見舞われている日本。
そのため、東京都や大阪府など全国16以上の自治体では、“防災用品の備蓄に関する条例やガイドライン”を定めています。
では、会社でヘルメットや非常食などの防災用品を購入した場合、税務上どのように処理すればよいのでしょうか?
基本は“繰り返し使えるか否か”で勘定科目を判断
会社で防災用品を購入した場合、それらの費用は原則的にすべて経費として損金算入できます。
ただし、“防災用品”と一括りにいっても、用途により勘定科目が異なるので注意が必要です。
たとえば、ヘルメットや毛布といった防災用の器具備品は『減価償却資産』として処理します。
一般的にこれらの防災用備品は物品の単価が少額(10万円未満)であるため、備蓄時に事業供用があったものとして、購入した事業年度の損金に算入することが可能です。
また、防災用として備蓄する非常食・医療品・電池などは『消耗品費』に該当します。
通常、業務に必要な未使用の物品は貯蔵品とされ、使用・消費時に損金算入しますが、非常食は“備蓄・保存すること”が目的です。
そのため、備蓄された時点で事業供用があった(=使用・消費した)ものとして、購入した年度に損金算入しましょう。
従業員に支給すると福利厚生費?
前述のとおり、原則として防災のために“繰り返し使うもの”は『減価償却資産』、“繰り返し使用しないもの”は『消耗品費』となります。
しかし、同じ非常食などでも消耗品費にならないケースもあるのです。
たとえば、会社で非常食などを一括で購入し、自宅に備えてもらうため社員全員に配布したとします。
この場合、購入費は消耗品費ではなく『福利厚生費』となります。
つまり、“繰り返し使用しない防災用品”を社内に備蓄する場合は『消耗品費』、従業員に配布する場合は『福利厚生費』で処理しましょう。
防災用品の備蓄が条例となっている都市も!
東京都では、平成25年4月に『東京都帰宅困難者対策条例』を施行。
事業者には、全従業員×3日分の水・食料・そのほか必要物資の備蓄が努力義務とされています。
そのため、非常食に加えて毛布、簡易トイレ、救急医療薬品類、携帯ラジオ、懐中電灯などを備蓄しておくことが望ましいでしょう。
この東京都の条例策定をきっかけとして、全国の各自治体で防災用品の企業備蓄に関する条例が策定・施行される動きが広がっています。
購入した防災用品の勘定科目や損金算入について、ご不明な点があればお問い合わせください。
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