2019.11.06中小企業経営者の方へ
就業規則に定めていないと、 懲戒解雇は適用できない!?
2018年3月、ある銀行員の男性が約1,800万円を着服したことから、当該銀行は公表前日付けで男性を懲戒解雇しました。
このように、万が一、自社で懲戒解雇をすべき事案が発生した場合、会社はどのように対応すればよいのでしょうか?
懲戒解雇の事由は就業規則への明示が必要!
懲戒解雇を行うには、以下の要件などを満たす必要があります。
(1)就業規則に“懲戒解雇に該当する具体的な事由”が規定されていること
(2)懲戒解雇を適用する、客観的合理性および社会的相応性があること
(3)適正な手続きに基づき、処分が行われていること
では、1つずつ見ていきましょう。
懲戒解雇には、解雇予告が不要!?
(1)については、たとえば『刑事犯罪にあたる行為を行った場合』など、具体的な事由を明記している必要があります。
仮に就業規則に懲戒解雇事由が規定されていない場合は、懲戒解雇することができず、普通解雇となってしまうので注意しましょう。
ここで、普通解雇と懲戒解雇(本人の責に帰するべき解雇)の処分方法についてご説明します。
労働基準法20条によると、解雇をする場合は少なくとも30日前に予告をしなければなりません。
また、予告をしない使用者は、解雇予告手当を支払わなければならないとされています。
しかし、この予告は『労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、この限りではない(予告不要)』とされているのです。
つまり、行政官庁(労基署長)の認定を受け(同法20条3項)、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、即日解雇をすることができます。
なお、解雇予告手当を支払う必要もありません。
客観的合理性や社会的相応性とは?
労働者の責に帰すべき事由か否かの判定基準は、『従業員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、基準に照らし、使用者、従業員の双方から直接事情等を聴いて認定するかどうかを判断する』とされています(通達:昭和23・11・11基発1637号)。
つまり(2)については、刑事犯罪にあたる行為を行ったり無断欠勤が続いているなど、社会通念上、解雇が当然だと考えられる合理的な解雇事由であることが必要です。
また(3)については、原則として労働者に弁明の機会を与えた上で、懲戒解雇を決定する必要があります。
なお、解雇事由が社会通念上相当だと認められない場合は、たとえ就業規則に定めてあっても無効となる可能性もあります(労働基準法第15条・第16条)。
就業規則の規程に関してご不安な点があれば、専門家にお問い合わせください。
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