2018.07.25中小企業経営者の方へ
決算書を見たい-開示義務はありますか
会社の決算書は誰が見ることができるのでしょうか?
先日こんなお問い合わせがありました。
「会社の少数株主だけれど、決算書を見せてもらえない。
開示してもらうことはできないのだろうか?」
今回のテーマはこの内容です。
決算書の閲覧方法は次の通りです。
①上場企業の場合
株式市場に上場しているような企業の場合ですが、
決算書は、金融庁が運営するEDINETで確認出来ます。
②非上場のうち有力企業
上場していないけど規模がある程度大きい会社(サントリーやアイリスオーヤマなど)については、会社四季報の未上場会社版を見ることで内容を知ることが出来るのです。
③上記以外の中小企業
さて、日本の99%を占める中小企業の決算書は、①や②の方法では見る事ができません。
確認する方法はあるのでしょうか。
中小企業の決算書の閲覧は出来るのか?
見たいと思っている人ごとに違います。
①対象の企業と関係が無い人
決算書の閲覧をしたい企業と全くの関係が無い人については、
まず見ることは出来ないと思っておきましょう。
経営者に閲覧をお願いすることは出来ますが、会社の経営状況がわかる資料ですので、
利害関係が無い人に見せることは普通の経営者であればしません。
ですが、経営者の判断で開示されることはあります。
・融資を受けるためには銀行へ決算書を提示する場合
・新規の取引先から決算書の開示を条件として取引契約を結ぶ場合
・事務所を賃借するために家主に決算書を開示する場合
などがあります。
会社が信用を得るために決算書を開示しなければならない時には、
経営者の判断で閲覧できることはあるのです。
②株主や債権者といった特定の関係がある人
対象企業と特定の関係がある人については、閲覧が可能です。
会社法に規定がありますので、引用します。
第442条(書類等の備置き及び閲覧等)
1 株式会社は、次の各号に掲げるものを、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
一 各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書 定時株主総会の日の一週間前の日から五年間
二 臨時計算書類 臨時計算書類を作成した日から五年間
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一 計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
ここで計算書類とあるものが、帳簿を基礎として作成される「貸借対照表、損益計算書や株主資本等変動計算書など」のことをいい、いわゆる決算書と呼ばれるものです。
この規定を基に、株主又は債権者が決算書の開示を請求した場合には、会社側には決算書を開示する義務が生じます。
債権者は回収不安を無くすため。会社の所有者である株主はその経営成績を知るため。
その決算書を開示を請求できるのです。
最後に
決算書には会社の内情をうかがい知ることができる重要な情報が載っています。
その取り扱いには慎重さが求められます。
ですので、簡単に第三者は知ることができないのです。
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